偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「おじい様! きちんとお顔を見せなければわかりませんよ! 失礼なのはおじい様ですっ」
覚悟を決めている私は、今まで躊躇っていた言葉がスルスルと口から出てくる。
「な、凪紗っ、さっきからなぜそうも肩を持つのか! お前、まさかこの八雲に騙されているんじゃあるまいな!」
客間の中心で失礼なことを叫ぶおじい様についに堪忍袋の緒が切れてしまい、私は父を睨んだ。冬哉さんも表情を変えずに、判断を仰ぐように父を見ている。
父は大きく肩を落とし、冬哉さんに向かってゆっくりとうなずき、それを受け、冬哉さんが口を開く。
「大変失礼致しました。創業者の金森善次様ですね。お世話になっております、以前一度だけご挨拶させていただきました、Y.SPACEの八雲冬哉です」
冬哉さんはソファに座るおじい様に向かって綺麗なお辞儀をした。