偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「フン。知っとるわい」
「ご報告が遅れてしまい申し訳ありません。実は、凪紗さんとお付き合いさせていただいています」
迷いなく告げられた冬哉さんの告白に、おじい様の口はあんぐりと開き、時が止まったかのように凍りついている。
「な……な……なに!?」
冬哉さんに掴みかかるのではないかという剣幕に変わったおじい様だが、年老いた体はすぐには動かないようで、私と父へ交互に首を向けてきた。
父をあてにしていない私は先に、ここまで来たらとことん戦うため、
「本当ですよ! 私、冬哉さんとお付き合いしてるんです」
と宣言する。
「凪紗っ! なにを血迷ったことを言っておるんだ! そんな戯れ言は──」
「嘘じゃありません! おじい様はそうやってひどいことばかり言うから、内緒にしていたんです!」
言い合いをする私たちに父が「お、落ち着いてください……」と仲裁に入るが、おじい様は「落ち着いていられるか!」と腹の中に渦巻く感情を勢いのままに吐き散らす。
続いておじい様の矛先は母へと向かった。
「美佐子! お前は知っていたのか!?」