偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
『なんだよ冬哉、マジで凪紗さん誘拐してきたんだな』
誘拐。
私はそうは思っていないけど、ふたりの間にはなにか計画があるような口ぶりだ。それを感じ、私の心は安堵へと傾いていく。やっぱり、なにか考えがあるんだ。それを聞けば納得できるはず。
電源の点いていない、左の真っ暗なモニターに映る自分は、不安げだが微かな笑顔を取り戻している。
「予定通りに進んでいる。凪紗と腹の子どもを、人質に取った」
モニターに反射する自分からすぐに笑顔が消えたのがわかった。
『……え、マジでそこまで実行したのか?』
「そこまでってなんだ」
『マジで凪紗さんのこと、計画のためだけに妊娠させたわけ……? 俺、てっきり、そこは冗談だと思ってたんだけど』
本村さんは私へ視線を向ける。少し引きつったその表情に、こちらの不安が煽られる。まるで妊娠してはいけなかったような言い方だ。