偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
整理すると、つまり。
『はなごころ』の商標権と製法が書かれた原本、創業から代々守られてきた金森製菓の銘菓の存在をごっそり手に入れたいということだろうか。
そのために、私を妊娠させ、おじい様への交換条件の人質に仕立て上げた。
決してこちらを振り向かず、本村さんとばかり話を進める彼の背中を見つめる。
……落ち着かなきゃ。冬哉さんがそんなことをするはずない。絶対になにか理由があるはずだ。
それか、本村さんとの間ではそういうことになっているけれど、真実は違うのかもしれない。だって私に『信じて』って言ってくれたんだもの。
やがて本村さんとのビデオ通話は終わり、モニターが暗転した。
「……冬哉さん、話してもらえますか。どうしてこんなことをしたのか」
優しい声で名前を呼び、問いかける。彼はチェアごと回転して振り向き、私が努力して保っている穏やかな表情を冷たく見据えた。