政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 形にならないもやもやした気持ちを口にしても、答えは浮かんでこない。

「やっぱり好きじゃないかも」

 眠っている相手に対して弱音を吐いた上、手を撫で回すとはなにごとか。自分の行いが恥ずかしくなって、すぐさま否定する。

「おやすみ、また明日ね」

 早口で言い捨て、逃げるように部屋を出て行く。出るときにちゃんと電気を消して。

 秋瀬くんが寝ていてよかったと心底思いながら、自分の部屋のベッドに潜り込んだ。



***



 寝た振りをして脅かすつもりが、とんだことになってしまった。

 中途半端にかぶっていた毛布を顔まで引っ張り、恐らく死ぬほど赤くなっているであろう顔を隠す。

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