政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 最初に距離を縮めてきたのは、チームで飲みに行ったあの日。酔った真白は俺にすがりついて、泣きながら弱音を吐いた。

 彼女は自分が描き出すデザインと同じように、明るく華やかで影を見せない人だ。それが本当に表の姿でしかないのだと、夫婦になってから知ってしまった。

 そして知った以上、放っておけなくなった。

 まだ、触れられた場所が熱い。あんなふうに握っておいて、俺の体温が跳ね上がったのを気付かないなんてどうかしている。

 ――私、秋瀬くんが好きなのかなあ。

 俺が聞いているとも知らない、呑気なひと言。そのたったひと言が俺の心臓を止め、呼吸まで奪ったなんて、思ってもいないに違いない。

 ――俺は、もうとっくに君のことが。

 本当の夫婦なら言えている言葉を、俺は彼女に伝えられない。

< 108 / 342 >

この作品をシェア

pagetop