政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「……うん」

 手の中で空になったグラスを回す。さっきから様子がおかしいせいで、私まで落ち着かなくなってきた。

「なにか悩んでる? 本当に変だよ」

 グラスを再びテーブルに置いてから尋ねると、いつも通りのふざけた反応が返ってくる。

「奥さんがかわいすぎて酔っちゃったかもなー。介抱してくれる?」

「私よりお酒に強いくせに」

「俺が弱いのは酒じゃなくてしろちゃんだよ」

 よくそんな歯の浮くような台詞をすぐに思いつくものだと感心する。いや、する振りをした。

 こんなバカげた言葉で喜ぶような自分ではないはずなのに、じわじわと顔が熱くなって秋瀬くんを直視できない。

< 138 / 342 >

この作品をシェア

pagetop