政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 今まで出会ってきた男の中で一番ありえない人が秋瀬くんだ。仕事では私の先を行くし、父にも認められて夫に選ばれるし、私をいじめて喜ぶようなひどい人だし。

 酔ったのは私の方だ。

 なぜか今、とてつもなく抱き締められたい衝動に駆られているから。



「もっと早く止めればよかったな」

 苦笑混じりに言いながら、秋瀬くんが私を支えてベッドに下ろしてくれる。

 家のベッドではない。酔って歩けなくなった私のために、秋瀬くんがレストランの近くにあるグランドホテルを取ってくれた。

 部屋の広さも豪華さもよくわからないまま、ぐるぐると回る視界を落ち着かせるように息を吐く。シーツの上で天井を見上げると、世界が揺れ続けていた。

「二杯目でそこまで酔うと思わなかった。平気か?」

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