政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 心配そうに覗き込まれ、うん、と頷く。

「私もここまで酔うと思わなくて……。ごめんね」

「俺とふたりっきりになってテンションが上がったんだな。うれしいよ」

 茶化した秋瀬くんが離れようとするのに気付き、咄嗟に服の裾を掴んでいた。

「しろちゃん?」

「うれしかったと、思う」

 もう片方の手で顔を覆い、秋瀬くんを引き留める手にきゅっと力を込める。

「私、秋瀬くんが好き」

 なにを言っているんだろう。でも、言うなら今しかない。

 頭の中でわんわんと音が反響して、考えがまとまらなくなっていく。

「秋瀬くんは、私を見てくれるでしょ。慰めてくれるし、助けてくれるし」

 これまでの日々を回想すると、ますます秋瀬くんへの想いが募った。

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