政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 同じ家に住んでいても肌を見たことがなかった私は、ここで初めて秋瀬くんが意外と均整の取れた身体をしていると知った。細身だと思っていたのに、触れてみると筋肉質で肩の幅が厚い。私とは違う、男の人の身体だ。

「ましろ」

 唇が離れた一瞬、秋瀬くんが乞うように囁いた。

「な、まえ……」

 子供っぽいあだ名ではなく、ちゃんと呼ばれて息が止まる。

 私の名前は、こんなふうに甘い声で呼ばれるようなものだっただろうか?

「っ、ひう」

 首筋に噛み付かれ、服の中に手を入れられる。これまでとは違い、キスより先を望んでいるのだと私に理解させるかのように。

 びくっと震えた私を見て、秋瀬くんが気まずそうに顔を上げた。

「ごめん、痛かったよな」

「び、びっくりしただけ」

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