政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 秋瀬くんが吐息をこぼして笑う。やけに色っぽく聞こえて、背筋が粟立った。

「言わなくてもわかると思ってるからかな」

「そんなのずるいよ。私も言われたい」

 また笑われて、唇をついばまれる。

「嫌いな相手に、こんなことできないだろ」

 欲しいひと言を口にしないまま、秋瀬くんは唇を私の身体へと滑らせていく。

 ひとつ、ふたつと繰り返しキスの音がした。きっとわざと音を立てているのだろう。そうでなければ、こんなに私の耳に届くはずがない。

 肌へ落ちるキスは私の身体を火照らせて狂わせる。どこに触れられても、秋瀬くんというだけで反応してしまうように。

「秋瀬くん、恥ずかしい……」

「知っててやってる」

< 146 / 342 >

この作品をシェア

pagetop