政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 でも。だけど。そういえば。

 頭の中で秋瀬くんを庇う私と、疑惑を強める私がケンカをする。

「秋瀬くんは、違うよ」

 やっとのことで吐き出した声はひどく震えていて、みんなの喧騒に紛れた。



 肝心の秋瀬くんが役員に呼び出されたと聞き、いてもたってもいられず私も向かってしまった。

 一社員だったら同僚に対してこんな真似はしない。

 初めて社長の娘という立場に感謝しながら、ただひとりの夫のために会議室のドアを開いた。

 一般社員には使えないその会議室は、テーブルも椅子も立派な作りだった。ドアを開けてすぐ大きな窓が目に入り、中央のテーブルを囲むようにして既に重役たちが座っている。

 ノックもなく突然入ってきた私を、彼らは訝しげな目で見た。

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