政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
凍り付いたのは私の中の時間だけで、紘一おじさんはさらに続ける。
「知らなかったんだね。だけど本当なんだ。一年前から和泉秋瀬は経歴を詐称してイリスで活動してきた。産業スパイの話が流れ始めたのはごく最近だが、おそらくは最初からそれが目的で」
「違います!」
秋瀬くんがどんな経歴を持って、なんのために入社したか、私は妻なのに知らない。
それでも、わかっていることがある。
「秋瀬くんは入社したときから、どんな仕事も丁寧に取り組んでいました。大手との契約を引っ張ってきたのも秋瀬くんですし、以前から付き合いのあるクライアントからの評価が大きく上がったのも秋瀬くんの企画のおかげです」
私は知っている。
秋瀬くんの部屋には、壁一面にデザインの本があることを。