政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 私が本気で向き合ってきた企画を、それ以上の完璧な企画を出すことで蹴落としてきたことを。

 軽薄に見えて、家でも仕事の話しかしないくらい、自分の仕事が大好きだということを。

「本が擦り切れるくらい勉強するような努力家が、他社に情報を流すなんて卑怯な真似をするはずがないんです」

「だけど彼は和泉泰時の息子なんだぞ」

 私が父のほかに尊敬している、もうひとりのデザイナー。La seule fleurの社長、和泉泰時。同じ苗字に奇妙な縁を感じていたのが、まさかここで繋がるとは思わなかった。

「父親が、なんですか」

 泣きたい。それはつい先日、秋瀬くん本人と話したばかりだ。

「誰が父親だろうと関係ないです。秋瀬くんは秋瀬くんじゃないですか」

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