政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「相変わらずだね、泰時は。そういうの、ツンデレって言うらしいよ」

「黙れ正親」

 父の呑気な感想を泰時さんが苛立った様子で一刀両断する。そのやり取りは、同業の社長だという以上の繋がりを感じさせた。

「どういうことなの、お父さん」

 私が尋ねると、父ではなく母がバッグからアルバムを取り出す。父と母が通っていた大学のものだ。不思議に思う私の目の前で開かれ、やがて止まったページの中身を見て絶句する。

 そこには若かりし頃の両親と、『和泉泰時』の名前があった。

「学友なんだ。泰時と美春ちゃんとは」

 父がアルバムを覗き込んで、ページの右上にいる女性を指差す。柔らかい印象を持った長髪のその人は、目の前にいる秋瀬くんの母親にそっくりだった。

「なんだ、それ」

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