政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 まるでこれから結婚式にでも参加するようだと不思議に思っていたけれど、ある意味では間違っていない。それにしてもまさか、私自身のお見合いが行われるとは。

「でもね、真白。二十八歳になるまで結婚しなかったら、お父さんが相手を見繕うって約束だったはずだよ」

 どんなに有名なデザイナーだろうと、私の前ではただの父親に過ぎない。そしてこの父親は優しいようで、意外と策士だった。

「だって、二十八になってからもなにも言ってこなかったから」

 私が誕生日を迎えたのは二か月も前だ。父に言った通り、特に結婚について言及してこなかったことから、約束の話はなくなったのだろうかと勝手に思っていた。特に私から望んでいるわけでもないし、今日まで触れずにいた――というより忘れていたという方が正しい。

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