政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 父と約束していたのは本当だ。それに、本来ならばもっと早くこうなるはずだった。

 諦めというよりは、冷静に現状を理解して父に告げる。

「でも、どんな人なの? お父さんが会社を任せてもいいって思った人なんだよね」

「それもあるけど、一番は真白を任せてもいいと感じた人だね」

 どんな人なの、ともう一度聞こうとして、席に近付いてくる姿に気付いた。

 なにげなくそちらを見て絶句する。

「やあ、しろちゃん。数時間振り」

 私を馴れ馴れしく『しろちゃん』と呼ぶ男は、この世にひとりしかいない。

 和泉秋瀬。私の永遠のライバルがそこに立っていた。



 あのあと、料理の味なんてほとんどわからないまま、父のやんわりとした強要を受けて婚姻届を書かされた。

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