政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 よしよしと頭を撫でられ、なぜだかわからないけれど胸がきゅううっと締め付けられた。

「するなら、ちゃんと正気のときにする」

 やけに落ち着いた囁きが落ちて、また私の鼓動を速める。

「今日はもう寝な」

 大きな手が髪から頬へ伝って、優しく触れてくる。餅のように伸びておもしろいと意地悪するときとは違う、包み込むような甘い手つきだった。

「……ぁ、やだ」

 不意に強く心が揺れて、目の前がにじむ。

 ここにいるのが秋瀬くんだという事実が、とてもつらくなった。

「秋瀬くんは……嫌」

「なに。じゃあ、高遠さんならいいのか?」

「うん」

 すぐに返答して、秋瀬くんの肩を押しのけようとする。

「秋瀬くんは、お父さんのお気に入りでしょ」

「え?」

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