政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 いやいやと首を横に振って、秋瀬くんの手から逃れるために身じろぎした。

 酔っているせいか、頭がふわふわして自分がなにを言っているかよくわからない。でも、秋瀬くんに優しくされたくない気持ちが、頭と胸を満たしていく。

「秋瀬くんは嫌なの」

 揺れる視界に映った秋瀬くんが、戸惑ったように瞬きをした。そして私の言葉に傷ついたように離れようとする。

 ああ、嫌だな。と、また思った。

 秋瀬くんは嫌だけど、もう少し優しくしてほしい――。



***



「っ、しろちゃん」

 離れようとしたのに、ぎゅっと抱き締められて動揺する。真白は俺の胸にすがりついてぷるぷる肩を震わせていた。

< 56 / 342 >

この作品をシェア

pagetop