政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 嫌なんじゃないのか、と言う前にその身体を抱き寄せる。中途半端な体勢だと気づいて、ちゃんと彼女の身体を起こした。

 ベッドの端に腰掛けた俺の腕の中で、真白がすんと鼻を鳴らす。なにがそんなに悲しくなったのかは聞かず、ただ黙って背中を撫でておく。

 居酒屋にいたときから、妙に顔が赤いと思っていた。ハイテンションになっているわけではないが、いつもより表情がくるくる動いて、顔がふにゃふにゃに緩んでいるのも、おかしいと感じていた。

 本人が自覚している以上に酔いが回っているだろうと察し、タイミングを見計らって側に行こうとしたのに、その前に高遠さんが真白の隣に座った。

 真剣な表情と、硬い顔つき。真白はよくわかっていないだろうが、傍から見れば彼がどんな思いで席を移動したのか読めてしまった。

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