政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 じわじわと迫る焦りを感じ、くっついてくる真白の顔を覗き込んだ。

 俺の腕の中にすっぽりと収まった真白は、いつの間にか寝息を立てている。

「言うだけ言って寝るなよ」

 苦笑して真白の腕をそっと引き剥がし、ベッドに横たえる。本当は寝間着に着替えさせてやりたかったが、酔っているときよりも寝ているときに脱がす方が問題だろう。

「かわいいよな、ほんと」

 乱れた前髪を手で整えてから、閉じたまぶたに口づける。

 もっと触れたいような気がして、そんな欲求を抑え込んだ。

「……でも俺は、君を騙してる」

 本音を吐いた真白に、俺自身の本音は届かない。



***



 ふ、と目を覚まして息を呑む。

 包み込むように秋瀬くんが私を抱き締めて眠っていた。

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