政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 政略結婚で、相手が気に食わないライバルでも、本物の夫婦になっていいんじゃないだろうか。秋瀬くんがしたように私がキスしてしまっても、別に問題はないのだから。

 顔を上げて寝顔を見つめ、形のいい唇に視線を流す。

 側にいると胸は高鳴るし、心も揺れる。だからといって自分からキスをしたいと思うほど、まだ秋瀬くんに落ちてはいなかった。



 翌日、私が起きたときにはもう秋瀬くんはいなかった。この一週間で何度かそんなふうに早く出社しているのを知っていたから驚きはない。むしろ、昨日の今日で顔を合わせずに済んでほっとした。

 ただ、会社に着いてからが大騒ぎだった。

「和泉ちゃんって、秋瀬くんとそういう関係だったの?」

 デスクに荷物を置くよりも早く、既にいたチームメンバーたちに詰め寄られる。
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