政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています

 こうなった理由も残念ながらしっかり記憶に残っていた。秋瀬くんが私を「俺のもの」宣言した上、ふたりで飲み会を抜け出したせいだ。

「えーっと」

 さて、どうやって誤魔化そう。結婚している事実は言いたくない。事情を説明するのも大変だし、まず私の父が誰なのかを伝えなければならなくなる。

 うまい言い訳は見つからないだろうかと思っていたそのとき、後ろから腰を抱き寄せられた。ハッと振り返ると、この騒ぎの張本人である秋瀬くんがいる。

 秋瀬くんはちらっと私を見下ろすと、注目しているチームメンバーたちに向かって言った。

「しろちゃんが黙っててほしいって言うから言わなかったけど、俺たち結婚してるんで。苗字一緒なのはそういうこと――」

「苗字は偶然でしょ!」

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