政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 アイスを持っていない空いた片手で、お腹をつつかれる。まったくの不意打ちにビクッと身体が反応した。

 咄嗟に自分の身体を抱き締めると、秋瀬くんは楽しそうに笑いながら部屋へ入ってしまった。むっとしてすぐあとに続く。

 迷いなく入ったとはいえ、秋瀬くんの部屋に入ったのはこれが初めてだった。

 部屋の色合いは、本人の好みなのか、青や紺色といった寒色系で統一されている。さすがデザイナーなだけあって、まとまりのある過ごしやすそうな部屋だった。

 ベッドとデスク以外に、壁を埋めるような大きな本棚が目に入る。ずらりと並んだ本の背表紙には、いずれもデザインに関連した単語が書かれていた。

「これ、全部読むの?」

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