今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

十五分ほどすると、悠翔は手から溢れそうな程のどんぐりが集めていた。

「悠翔君、持って帰れなくなるから、そろそろおしまいにしようか?」

陽茉莉が声をかけると、悠翔は「うん」と頷く。陽茉莉は持っていたスナック菓子の箱から中身の袋を取り出すと、その箱にどんぐりを入れてやった。

「お姉ちゃん。僕、次はあっちに行きたい」
「あっち?」

 次に悠翔に手を引かれるがままに向かったのは、社の裏手だった。
 陽茉莉はここに来るとき、駅から表参道を通って来た。しかし、実は裏参道もあるようで、社の裏手には道が続いていた。

「こんなところに美味しそうなレストランがある。カフェかな?」

 境内から裏参道へ出てすぐの位置には、お洒落な雰囲気のカフェがあった。
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