今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
「ただ、礼也は妖力も神力も中途半端なんだよね」
「どっちも中途半端?」
「そう。見ようによっては最強なんだけど、ある一面を切り取ると弱点にもなるってこと。神力は純粋な神力を持つ人間と比較すると少ないし、妖力も俺に比べれば少ない。なのに両方を使うもんだから、よく力が枯渇して休息が必要になる」
「休息って?」
「狼神の姿になって、休んでない? あの姿のほうが、色々と回復が早いんだよね」
高塔は何でもないことのように、そう言った。
オオカミの姿で休んでいると聞いて、確かに思い当たることはあった。会社の仕事でもないときに夜遅くなる日は、相澤はリビングでオオカミの姿で眠り込んでしまうことが多い。
(あれって、疲れから回復するためだったんだ……)
陽茉莉はそれを、ただ単にリラックスしているだけなのだと思っていた。
(この前も社内商品を持って帰ってコツコツ作戦を練ってたし、オオカミの姿になって回復させないといけないくらいまで無理してるし、本当はすごく努力家なんだろうな)