今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

 会社ではバリバリ働き成果を上げ続け、夜もそんな裏の顔を持っている相澤のことを、陽茉莉は半ば〝何でもできるスーパーマン〟のように見ていた。
 けれど、彼は彼なりに多少無理しながらも頑張っているのだと、今さらながらに知る。

「あの、神力を持つ人は珍しいって言いますけど、私からはたくさんの神力を感じる言っていましたよね?」
「そうだね。ここまで多くて、しかも祓除師の訓練も受けていないのに今まで無事だったことにちょっとびっくりしてる」

 高塔は陽茉莉を見つめ、頬杖をつく。

「訓練? 祓除師って訓練でなれるものなんですか? そうすれば、私も祓除札や癒札を作れる?」
「もちろんじゃ。強要はできぬが、そなたが訓練を受け祓除師になれば、我らは非常に助かる」

 高塔の隣に座る詩乃が、静かにそう告げた。


< 176 / 296 >

この作品をシェア

pagetop