今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

(琴子さんみたいに、呑まれて死んじゃうの……?)

 予想外のことに、スマホを握りしめる手が震える。

『今、どちらにいらっしゃるんですか?』
『正直、今、新山ちゃんに来られても守りきれる自信がない。すぐ近くに強力な邪鬼がいるってわかっているのに、万が一にもきみが襲われたらそれこそ一大事だ』

 遠回しに邪魔だから来るなと言われ、陽茉莉はぐっと黙る。

(じゃあ、相澤係長がピンチなのに私は何もせずに黙って安全なところにいろってこと?)

 そんなの、嫌だと思った。彼が自分のピンチを救ってくれたなら、私は彼のピンチを救いたい。

『高塔副課長、どこにいらっしゃるんですか?』
『…………』
『教えてくれないなら、自分で探しに行きます。私は邪鬼に襲われやすいから、ふらふらしていればその〝強力な邪鬼〟も引き寄せられてくるかも』
『本気で言っているのか?』
『本気です』
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