今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
冷たい手が肩に触れて、陽茉莉はもうだめだとギュッと目を閉じた。
「陽茉莉!」
自分を呼ぶ叫び声と共に、ザッと強い風が吹く。
肩に触れていた冷たさが消え、代わりに陽茉莉の体を包み込んだのは優しい温もりだった。
ギャアアと叫び声がして恐る恐る目を開けると、視界の端に先ほどの男の人が地面に倒れているのが見えた。
「間に合ってよかった」
苦しいほどに、強く抱きしめられた。
「礼也さん……」
けれど、その力強さが今は安心できた。
もっと強く、痛い位に抱きしめてほしい。