今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
低い声には、邪鬼と対峙するときのようなすごみがあった。完全に男として敵視されている。
「決めるのは、新山ちゃんだろ?」
澄ました表情で片眉を上げてみせると、ガタッと相澤が立ち上がった。高塔はその後ろ姿を見送り、苦笑する。
(相変わらず、新山ちゃんのことになると余裕がなくなるよね)
高塔からすると、相澤は赤ん坊の頃から成長を見守ってきた弟のような存在だ。すっかりと大人の男になったと思っていたが、こうしてときに余裕をなくすところを見るとついついからかいたくなる。