今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

「そう仰るなら……」

 陽茉莉は少しだけ考えて、おずおずと頷く。
 陽茉莉にとっても、ここは居心地がよい場所だ。身の安全が保たれるというのも大きいが、何よりも相澤は悠翔とすごす時間が、好きだった。

 相澤の表情がほっとしたように和らいだ。
 そんな些細なことからも、本当に自分にここに残ってほしいと思っているのだと窺い知れて、嬉しさを感じた。

「じゃあ、明日からもよろしくお願いします」

 陽茉莉はにこりと微笑んで、隣に座る相澤にぺこりと頭を下げる。

「ああ、よろしく」

 相澤も釣られるように微笑む。

「でも、やっぱり出ていってほしくなったらすぐに言ってくださいね」
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