今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

 ドアノブに手をかけようとした相澤が、ふと何かを思いだしたように振り返った。

「そうだ。忘れないうちに伝えておく。今日の夜は夕食いらない。ちょっと用事があって遅くなる」
「そうなんですか? わかりました。悠翔君と一緒に食べておきます」
「助かる」
「行ってらっしゃい! また後で」

 ドアを開いた相澤の背中に、陽茉莉は明るく声をかける。
 相澤は振り返ると、口の端を上げて片手を振った。


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