青い春を纏う
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店を出て少し歩いたところで、私は我に帰り加賀くんに声をかけた。


「加賀くん、加賀くん。私、本当に大丈夫だったんだよ。それに、加賀くんまで抜けなくても良かったのに...」


そう私が話しかけると、加賀くんの足が止まった。そして数秒間の沈黙が続いたあと、彼はこう呟いた。


「なんか、ほっとけない...」

「え...?」


加賀くんの顔を覗き込むと、彼は眉をひそめて下を向き、とても不安そうな顔をしていた。
私と目が合った加賀くんは、ハッと何かに気づいたような顔をして、こう続けた。


「あ、ううん、ごめん。俺が帰りたくて、そのための口実作った」

「......そっか」


加賀くん、今 ほっとけない って、言ったよね?ひょっとしてそれって、私のこと...?
でも、加賀くんはなんだかとても苦しそうで、まるで何か嫌なことを思い出したような表情をしていた。ねぇ、加賀くん。今の言葉は、どういう意味なの?それに、なんで私がカラオケルームでしんどそう、って気づいてくれたの...?


このときの私はまだ何も知らなくて、加賀くんの本当の気持ちを理解できていなかった。あの言葉の本当の意味は、こことは全く違う別の場所にあったんだね。きっと加賀くんは、私をあの子と重ね合わせていたんでしょ...?


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