運命の一夜を越えて
全くエコー写真に視線を向けないまま渉はベッドの横の椅子に座り、うなだれたように組んでいる自分の両手を見つめた。

「渉・・・?」
嫌な予感がする。

渉がなんというか、想像がついている。

でも、渉の口からその言葉を聞くのが怖くて、私はエコー写真を胸に抱きしめた。

「あきらめよう」
「・・・」
「彩」
低く少し震える声でそう言った渉が顔をあげて私を見る。

「彩」
「・・・」
「あきらめよう」
「・・・」
「彩のいない人生なんて耐えられない。頼むから。生きるための努力をしてほしい。」
もしも私が逆の立場でもきっと同じことを言うだろう。
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