運命の一夜を越えて
「マフラー、お返ししたいんですけど」

私は自分の心からの危険視号を感じて、唇をギュッとかんでから要件を伝える。

これ以上、距離を近付けたらだめだ。


『またそうやって俺との距離、とろうとする』

どうしてこの人はこんなにも私のことをわかってしまうのだろう・・・。

「とろうとしてません」
動揺している私は言われたことをそのまま返すしかできない。

『まっ、いいけどさ。それだけ距離をとろうとしてる君が俺に連絡をくれることって、すげー覚悟だっただろうってわかるからさ。』

ほら。
こうやって私の気持ちなんて簡単にわかってしまう・・・。
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