運命の一夜を越えて
俺は自分の心が受けている衝撃に気づかないふりをしながら彩に微笑みかける。
俺、ちゃんと微笑むことができているだろうか。
少しでも不安がらずに、彩が安心できるようにできているだろうか。

全く自信が持てない。

それでも彩を少しでも安心させてあげたい。
大丈夫かどうかなんて確信も何もないけれど、大丈夫だと笑って強く守りたい。

「そうだな。赤ちゃんのために、少し休もうか。」
その言葉に彩はうっすらと瞳に涙を浮かべながら頷いた。

きっと今彩は心の中で俺に謝っているはずだ。
でも言葉にしないのは、俺と約束をしたからだ。
この子の命を守るために俺たちはたくさんの力を借りないとならない。でも、その度に謝るのはやめようと。この子の命を謝るようで俺は嫌だった。

その分、感謝の言葉を伝えようと決めた。

彩はその約束を守っているんだ。
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