最後の悪夢
河井先輩は私の両肩に手を置いて、必死に訴えるように言った。
「最初と繁華街は黒なの! ホテルは白。休みはあっても気を緩めたら死ぬ、だから……あれ、私何を言いたいんだっけ、もう、ダメなのか。記憶が、本当に……」
「先輩……?」
先輩の言っていることの意味がわからなくて、困惑する。
それでも不思議なことに、私はそれを記憶していた。
繁華街は黒、
ホテルは白、
休みは気を抜くな。
これが後々役に立つことになるとは知らず、この時の私はなんとなく、それを頭に留めていたけれど。
先輩はそれだけ言って泣き出した。
「自分の言いたいことが分からない」と言って泣いた。