最後の悪夢

ドライヤーが水面に触れたその瞬間。


バチッ──大きな血管が切れたみたいな、酷い静電気が起こったみたいな、大きな音がした。

つん、と鼻に触れた焦げ臭い匂い。

手当たり次第に扉の取っ手を探し、手前に引いて、シャワールームを閉めきろうとした。でもコードが挟まってできなかった。


ぎりぎりまで息を止めていた。でもコードを抜いたりバタバタしていたら限界が来た。

次にその異臭を嗅いだ途端、案の定、それが引き金となって俺は耐えきれず洗面台の上に思い切り吐いた。


さっき吐いてもう吐くものもなかったから胃液ばかり吐いた。

人殺し。殺人。事故。感電死──頭の中をそんな単語が駆け巡った。



間違ったことはしていない。
ただ人としては失格。

人を殺したんだから。

誰かのためっていうのは言い訳?

これで誰かが助かるなら、っていうのは言い訳?


そういうのは綺麗事?
わからんよ、もう。
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