素直にさせないで
足の先から頭のてっぺん、脳ミソまでぎっしりと筋肉の詰まった175cmのアイツの身体と、あの脅迫的な顔面は相手からしたらただの脅威しかない。
猪突猛進。
まるでライオンが犬の群れの中を猛烈な勢いでリングへと一人で突っ走り、蹴散らすような…誰も止められない百獣の王。
私はこんな長い間、バカを見つめたのは初めてだったに違いない。
「お、いつもの不破じゃないから思わず新川も見とれちゃったか?」
まるで見透かされたように、ははっと面白そうに穏やかに笑う山崎先生に、声をかけられてようやくハッと我に返った。
「先生…」
「ん?」
「負けず嫌いで性格の悪いアイツにびったりなスポーツなんですね。バスケって。」
私の率直な感想に先生はお腹を抱えて笑っていたが、
アイツがバスケに向いてるというより、
アイツの為にバスケというスポーツがあるような気がした。
そのくらいしっくりきた。