素直にさせないで
「なんだぁあ!?この俺様に見とれていたろぉ!?ららぁぁっ!!」
どや顔で汗だくになってベンチへと戻ってきた不破が嬉しそうにタオルをよこせっと手で催促するも、
「ちっーーともっ!!」
私はあっかんべぇーしながらシカトを貫いた。
「おいっ!!」
ぐいっと腕を引っ張られ、耳まで引っ張られ、
「この俺様のカッコよすぎる一面に恋に落ちただろ!?落ちただろ!!?おいっ!!俺様に死ぬまで服従したい気分になっ…もがっ!!」
唾を飛ばされて、言いかける唇を思いっきり私は手で塞ぐと、
「不破、よかったな。新川はお前のプレー見て驚いてたぞ。あともう一押しだな。」
と山崎先生がにこやかに猛獣を諭すと、
「まっそういうことなら俺様の奴隷にしてやってもいい!!!」
嬉しさを隠しきれないとんでもないどや顔を向けてくるので、
「先生っ!!」
私は怒ろうとした時、
「こんにちは。遅れてすみません。」
礼儀正しい男の子の声が頭上から降りてきて、見上げると
「ああ、湊。駅伝の練習だろ?お疲れさん。」
「おおっ!!湊!!やっと来たかっ!!おっせぇじゃねぇかぁあ!!!」
先生の挨拶のあと、その男の子の登場にバカが飛び付くように嬉しそうに向かいいれる。
あれ、“湊”ってさっきクラスの女子が言ってたーー