素直にさせないで
「宜しくお願い致します。」
ふんわりと物腰優しそうな声をした礼儀正しい男の子。
バカと同じくらい170cmはありそうなすらりと細い背丈。
栗色のふわっとした少しくせっ毛のマッシュヘアに、優しそうな目付きに、細い骨格のすっと整った目鼻立ちに色白い小さな顔は、まるでモデルさんみたいで…
ーーゴンッ!!!
「いったぁあっ!!」
急に頭から力強いげんこつが落ちてきて、
「ブスが色目使ってんじゃねーよ!!」
見上げると、バカがやたら睨みを効かしてる
「・・・誰がブスよ!!」
こんな綺麗な男の子を見とれるなっていう方が無理がある。
「普段怪獣ばっかり見てるせいかな…目が癒しを求めてるんだわ。私の目は。」
「何ぶつぶつ言ってんだ!てめぇは!!」
「もしかして、彼女が不破さんの…」
“湊”と呼ばれてる男の子がこちらを見ていうと、バカは私の肩ごと羽交い締めしきて、
「お前に紹介しておく。この救いようのないブスが俺様の専属マネージャーだから。」
「すくっ・・!?誰が救いようのないブスよ!?しかも勝手に決めないでよ!!」
私はバカに全力で蹴りをいれると、
「分かりました。」
まるでこの状況を一瞬で理解したかのようにたった一言をくすりと微笑みながら彼が答えただけなのに、不破にはまるでない気品と知性溢れる表情は、少し神経質そうにも見える繊細そうな空気感に私は目を奪われていた。