素直にさせないで
「お前…!!」
そんな私の様子に気づいたのか、バカにいつも以上に鋭い視線で睨まれるも、フッ…と何やら悪巧みな笑みな切り替え、
「いいか!?湊、今日はお前は一点も入れんな!!ボール貰ったら全部俺にパス回せ!!!分かったな!?」
「おっ…おいっ!!不破っ!!何お前むちゃくちゃ言ってんだよ!!」
「そうだよ相手は県内2位の相手だぞ!?湊が決めないと」
不破のめちゃくちゃとも言える発言に6年の男の子達がざわめき反論するも、
「うるせぇっ!!!この俺様の決めたことに反論すんじゃねぇえっ!!!!」
怒鳴り散らす声が体育館中に響き渡ると、もう呆れた視線とため息が広がる。
「分かりました。不破さんにパス回します。」
無茶苦茶な発言にも、微動だにもせずに湊だけは、にこにことした表情で答えた。
根性座ってるというか…、変わってるというか、ご主人様の命令には絶対答える“おりこうさん”という感じ。
でも嫌な顔もしてないし、嫌だとも思っていないような感じで掴みどころなく不思議に思えた。