素直にさせないで





「いいパスを出すなぁ~・・」

しみじみと山崎先生は腕を組ながらため息をもらす。

「ルールよく分からないですけど、あれってわざとファウル貰いにいったんですか?」

「ああ。もちろんだよ。不破の上手いバスカンと思われるけど、あれは実は湊の計算づくのパスだよ。」

「へえ…」
「ゴール下付近で身体をぶつけながらシュートに持って行ってファウルを貰いにいかせられる上手いパスを湊が出してるんだよ。あんなことを計算してできる5年生なんか全国にも湊くらいしかいないだろうね。」

「そんなに!?」
あの子が!?
そんな計算高く見えない。
朗らかで…ガツガツとプレーするアイツとは大違い。


「湊も170cmあるから本当は5番やってほしいんだけど、俺が思うにバスケは1番(ガード)と5番(センター)でチームの命運が決まると思ってるから、あの二人に任せておけばうちはどこにも負けない。」

「ふーん…」

バカがリバウンドをもぎ取ってそのままシュートに持っていく、力強い二人のプレーがチームに流れを引き寄せていき、

気がつくと・・・、
60対28
「ヤバい30点差・・・?」
最終Q、バカの大暴れにより、全国大会出場の愛知県ナンバー2相手に大勝を果たしかかっている。

もちろん、チームハイは、バカの不破竜之介である。



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