契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 あのあと結局ベッドで甘い時間を過ごしてしまい、ちゃんと起きたのは八時を少し過ぎたころ。手早く朝食の準備に取り掛かる。
 
 昨日の夜に作っておいたミネストローネスープを温め直している間に、お気に入りのパン屋で買ったライ麦パンを薄くスライスしその上に生ハムとチーズをトッピングする。

「コーヒーは俺が淹れる」
 
 私の後ろで大吾さんがエスプレッソメーカーの電源を入れ、手際よく準備を整えていく。その姿はまるでそこに一流のバリスタがいるようで、その出で立ちについ見惚れてしまう。

「八重、手が止まっている」
「え? あ、はい、すみません」
 
 別に謝るようなことをしたわけではないけれど、見惚れていたことを悟られないように言葉を濁す。でもそんなこと大吾さんにはお見通しのようで、ふっと鼻で笑われてしまうから面白くない。
 
 でもここで何かを言うほど子供ではない私は、サラダの準備に取り掛かる。今朝は簡単にグリーンサラダ。レタスにサニーレタス、ベビーリーフと水菜をよく洗い、ざるに取って水気をきる。



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