契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
「そうやって避けられると、拒絶されたようで傷つくな」
 
 でもすぐに今まで見たことのない悲しげな顔をするから、普段とのギャップに胸がキュンと疼く。

「そ、そんな拒絶だなんて違います。誰だってこんな至近距離に顔を近づけられれば、驚いて離れると思いますけど……」
 
 バクバク跳ねる胸を押さえ、程よく大吾さんから距離をとる。

 ふたりでいるときならまだしもここは会社で、目の前には斎藤さんもいるというのに大吾さんはお構いなし。俯く私に身体をグイグイ寄せるから、どんな反応をしたらいいのか困ってしまう。

 そんな私たちを見て、斎藤さんはいいものを見たと言わんばかりに笑い出す。

「社長。楽しそうですが、そろそろ部長会議のお時間です。第一会議室へ急いでください」
「もうそんな時間か。八重、このあとのことは斎藤に任せてある。会議が終わったら、また会おう」



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