契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 社長室と同じフロアにある秘書課には、お洒落としか言いようのない空間が広がっている。大きな窓からは明るい日差しが入り込んでいるというのに、部屋の温度は快適だし空気もキレイで清々しい。

「おはようございます」
 
 斎藤さんが入り口で挨拶をすると、その場にいる全員が一斉に立ち上がり「おはようございます」と返した。
 
 秘書課に在籍しているのは十五人程度といったところだろうか。秘書といえば女性のイメージが強かったけれど、月菱酒造は斎藤さんをはじめ男性秘書が多いようだ。

「紹介します。本日付で秘書課に配属となります、天海八重さんです。私の補佐的な仕事をしてもらうのでデスクは隣の執務室に置きますが、皆さんよろしくお願いします」
 
 紹介をしてもらうと、緊張しながら一歩前へ出る。

「天海八重です。慣れない仕事でご迷惑をおかけすることもあると思いますが、ご指導のほどよろしくお願いいたします」
 
 頭を下げると拍手と同時にあちこちから「よろしく」と挨拶が返ってきて、ホッと息をつく。最初が肝心というけれど、どうやらうまくいったようだ。



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