契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 私たちの関係が偽装ではなく、本当に心から愛し合う恋人同士だったなら、こんなことにはならなかったのに……。

 やっぱりここにいるわけにはいかない。どうせ別れを切り出されるのだろう、だったらここは私から身を引いたほうが潔い。
 
 なにも言わず立ち上がり、濡れた服を着替えるために寝室へと向かう。ウォークインクローゼットのドアを開け、中に入ろうとしたそのとき。
 
 後ろから抱きしめられたかと思うと次の瞬間目線が彷徨い、身体がふわりと宙に浮く。すぐにそれが抱き上げられたのだとわかり、無意識に大吾さんの首にしがみついた。

「イヤ……」
「怖いなら、そのまましがみついておけ」
 
 怒っているのだろうか、その口調は厳しいのに私を抱く腕は温かく優しい。大吾さんが怒るなんてお門違いだと思うのに、彼に縋りつきそうな自分がいた。
 
 ベッドの下ろされると濡れた服が身体にまとわりつき、慌てて起き上がる。

「布団が──っ!?」
 
 濡れちゃうと言おうとしてその唇を奪われ、身体をベッドに押し戻された。



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