契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
「どうぜすぐに脱がすんだ、そんなこと気にしなくていい」
 
 大吾さんはそう言って、上半身にまとっていたものを脱ぎ捨てる。
 
 どうせ脱がす?
 
 この期に及んで何を言っているのか。大吾さんの勝手気ままな発言に、私の中のなにかがプツリと切れた。

「は、はあ!? 大吾さん、何勝手なこと言ってるんですか? 田町さんと付き合っているんですよね? だったら私に偽装結婚なんて頼まなくても、田町さんと結婚すればよかったじゃないですか! こんなことして、田町さんが知ったらきっと悲しみます……」
 
 もうこんな思いは、私ひとりでいい。そう思ったら途端に涙が溢れ、泣き顔を見られたくなくて両手で顔を覆うとその手をやんわりと取られた。

「八重の言う通りだな。ごめん、悪かった」
「じゃあ本当に、大吾さんは田町さんは付き合って……」
 
 真実を知らされる──。

 そうわかっていたのに、そのことを目の当たりにして悲しみに下唇を噛む。今更気づいても遅い自分の本当の気持ちに気づき、涙が止まらなくなってしまう。



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