契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 でもおかしなことに、涙で霞む目に映るのは大吾さんの笑った顔。こんなときにどうして笑っていられるのだろうと、今度はふつふつと怒りがこみ上げる。

「大吾さん、ひどい! こんなときによく笑っていられますね。私は大吾さんのことを信じていたのに、この関係がずっと続くと思っていたのに。最低! もうホント大嫌い!」
 
 嘘と本音がごちゃ混ぜになって、思いのたけをぶち明ける。
 
 泣きながら怒って、今の私はひどい顔をしているに違いない。でももう、そんなことどうでもいい。大吾さんを信じた私がバカだった。
 
 握りしめられている手を振り解こうとして、グッと上に持ち上げる。でも気づかぬうちに大吾さんは私の上に跨っていて、上から押さえつけられていてはたかが女ひとりの力ではどうすることもできない。

「もういい、離して」
「離さない。なあ、少し落ち着いてはもらえないだろうか。ちゃんと話をしたいんだ」
「話? 今更ですか?」
 
 これ以上、なんの話があると言うのだろう。何を聞いたところで結末は変わらないのだから、これで終わりでいいじゃない。


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