契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 そう思うのに、大吾さんの目は真っすぐに私を見つめたまま。その視線はゆるぎなく、一点の曇りもない。

 しばらく黙ったままその瞳を見ていると、少しずつ心が落ち着きを取り戻す。

 少しくらいなら話を聞いてあげてもいいかも。
 
 そんな気持ちが芽生えてきて、身体の力を抜き仕方ないというようにため息を漏らす。

「話、聞いてあげてもいいですよ」
 
 普段なら大吾さん相手にそんな上から目線なことは口が裂けても言えないけれど、今日だけは言わせてもらう。それくらい言ったって、罰は当たらないだろう。

「助かる。まず最初に、八重を今こんな状態にさせているのは、ネットニュースで流れた報道を知ってのことで間違いないか?」
 
 “ネットニュース”の言葉に胸が痛むが、間違いないと小さく頷く。

「そうか。じゃあまずは、結論を先に言わせてほしい。ネットに流れた画像は間違いないが、あの内容は正しくない。俺は彼女を抱きしめてないし、キスもしていない」
「でもあの画像はどう見ても、抱き合っているようにしか見えませんでした」
 
 だから私はショックを受けて、逃げ出してしまったのだ。



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